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書道のはな*みち 書道師範 高宮 暉峰さん

―日本橋浜町。かつては広大な武家屋敷が広がっていた、古くから続く江戸のまち。歴史と伝統を受け継ぎながら変わりゆくまちの息遣いと魅力を、このまちで働き、暮らしを営む人々の言葉を通して紐解いていきます。

今回登場いただくのは、日本橋浜町ご出身の書道家で、書道サロン「書道のはな*みち」を主宰する高宮 暉峰(本名:高宮華子)さん。日本橋浜町にあるブックカフェ「Hama House」でもレッスンを開催し、生徒の皆さんから「はな先生」と慕われる明るく元気な先生です。メディア出演や講師活動、プロダクション事業などしなやかに活躍する高宮さんに、書への情熱と日本橋浜町への想いを語っていただきました。

 

“成り行き”から天職へ。恐怖と憧れの先に見えた書の道

田中昌峰先生が開く書道教室に入塾したのは、小学1年生の時。「字がきれいな方がいいね」という両親の勧めでした。今でこそ書は私の人生そのものとなりましたが、初めから特別な情熱を抱いていたわけではなくて。とにかく師匠が怖くて、辞められなかったんです(笑)。

礼儀作法にも厳しくて、お辞儀の仕方ひとつで何度もやり直しさせられたことも…。25歳で書道師範をいただいたときは、心の中で「やっと圧から解放される」と思ったほどでした。

―それでも辞めずに、書道を続けた理由は何だったのでしょうか?

実家が印刷会社を営んでいて、師匠に原稿を依頼していたんです。「辞めたら家業に影響が出てしまう」と、子どもながらに気を使っていた部分もあります。

でも、いま思えば師匠に憧れていたからじゃないかな。凛としたすてきな女性で、本当にかっこよくて。怖ければ逃げることもできたのに、そうしなかったのは師匠のそばにいたかったからなんでしょうね。

―書道家の道を選んだのも、やはり師匠の影響が大きいのでしょうか?

きっかけは、カルチャースクールの校長に「書道はマイナー」と言われたことでした。そんなふうに思われているのもショックでしたし、なにより書道や師匠まで否定されているような気がして悔しくて。

それに反論すべく師匠の教室の素晴らしさを説明したわけですが、向こうは私が教室の主宰者だと思ったようで「一度、パンフレットを送ってください」と言われてしまい…。父に協力してもらって、大急ぎで名刺とチラシを作成しました。なんと、この出来事が書道家としてのスタート地点。実は、“成り行き書道家”なんです(笑)。

楽しく、気軽に、美しく。革新のスタイルで書道の新時代を切り開く!

―27歳の若さで起業されて、ご苦労される部分も多かったのではないでしょうか?

自分より上の世代が書道教室に来てくれるとは思えませんでしたから、20~30代くらいの若い世代にアプローチしようと考えました。でも、家事や仕事に忙しい世代ですから、書道どころではないんです。そこで考えたのが、メディア戦略。本を出す、テレビに出るという誰が見ても分かるような実績を作っていきました。

good morningsの水代くんもいつも話していることですが、“場の編集”も大切にしています。いくら良いメディアに出たからといって、教室のイメージが良くなければ通いたいとは思えません。女性がホッとできるようなすてきな場所はどうだろうと、六本木ヒルズの49階のカルチャースクールでレッスンをスタート。都会のパノラマが広がる空間で、コーヒーを飲みながら書に向き合う時間は、“天空の書道教室”として好評でした。

―レッスンでは、“書”だけでなく“道”の部分も大切にされていますね。

師匠から学んだことでもありますが、字が上手なだけでは意味がありません。字を美しくするだけではなく、すてきな言葉、さりげないおもてなし、心のこもったマナーなど人生が豊かになることを伝えるべく指導しています。

だからといって、堅苦しいわけではないんですよ。お茶を飲みながらリラックスした雰囲気で、楽しくレッスン。自分の教室ではお酒も出していて、お酒を飲みながらの受講OK。もちろん、私も飲みます(笑)。

―書道に対するハードルを感じることなく、気軽に参加できそうです!

書道をマイナーからメジャーにするためには、ハードルを下げることも必要だと思うんです。書道のはな*みちのモットーは、「楽しくカンタンに字をキレイにすること」。継続して通うのが難しい方には、1日完結型のレッスンも提案しています。

たった1回で結果が出るの?…と思われるかもしれませんが、3分あればいったんは上手になります!上達する近道へと導くことも、指導する上で大切にしていることです。

―多彩なアイデアと実行力をお持ちですが、今後の展望を教えてください!

毎年、書道家対象の公開オーディション「書道家のためのスカウトキャラバン」を開催しています。書道家がステージで作品を書き、審査員と一般客が投票するというライブ感ある楽しいイベントなんですが、2030年には東京ドームで開催すると決めています。2万5,000人を動員し、大好きな原 辰徳さんを特別審査員としてお呼びして、最後はみんなで一つの作品を書いてギネスを取りたいんです。

それと、書道家が無償で暮らせる「書道家村」の建設。書道家を目指す人やスタートアップしたばかりの人を支援しつつ、一般公開日を設けて書道の魅力をたくさんの人に知ってもらう場所を作りたいと思っています。

この二つが、私の壮大なる野望です!

 

離れても、やっぱり浜町!“書”でつなぐふるさとへの想い

―生まれは日本橋浜町二丁目。現在は区外にお住まいですが、日本橋浜町には溢れんばかりの愛があるとか?

もちろんです!浜町公園も、同級生の川島 靖喜くんが経営する「レストラン ラグー」も大好きな場所ですし、展覧会でもお世話になっている「好文画廊」さんは不思議と落ち着く空間で、ずっと佇んでいられるくらい。実家に帰って来て隅田川を見ると、やっぱりホッとします。

地域の優しさがあって、家族のような存在がたくさんいる日本橋浜町は、子どもの頃の私にとってはセーフティネットのようなまちでした。時代や景色は変わっても、根底にある下町気質は残っていると感じます。

「Hamacho Autumn Session」では、Hama Houseの前の道路に芝生を敷いて貸し切りにしますよね。そこで、伸び伸びと伝統文化に触れることができる青空書道をやりたいんです。地元を離れても大好きなまちだということに変わりありませんから、地元民として書で貢献していきたいと思っています。

書道のはな*みち

HP:https://hana-michi.com/

[取材日:2025.2.28]

写真:北浦汐見 文:濱岡操緒

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