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株式会社Agri Innovation Design 代表取締役 脇坂 真吏さん・佐藤 千也子さん

―日本橋浜町。かつては広大な武家屋敷が広がっていた、古くから続く江戸のまち。歴史と伝統を受け継ぎながら変わりゆくまちの息遣いと魅力を、このまちで働き、暮らしを営む人々の言葉を通して紐解いていきます。

今回は年に4回開催している「浜町マルシェ」の運営に、立ち上げ時から携わっている株式会社Agri Innovation Design代表取締役の脇坂真吏さんにお話を伺います。全国各地でさまざまなマルシェを手がける脇坂さんにとって、浜町マルシェはどんな場所なのか。また脇坂さんがマルシェを通して実現したいこととは?じっくりお話を聞いてみました。

 

夢は小学生のなりたい職業1位を農家にすること

ー 脇坂さんは「小学生のなりたい職業1位を農家にする」ことを目指して、農業支援に関するプロデュースや、廃校を利用した「東神楽大学」の運営、そしてマルシェのプロデュースもされていますが、農業に興味を持ったきっかけはなんだったんですか?

本当は高校を出てすぐに料理人になりたかったんですが、両親が大学に行きなさいと言うので東京農業大学へ進学しました。

いまの仕事をするきっかけになったのは、農村調査部という部活の最初のフィールドワークで出会った農家さんですね。

彼の仕事はすごく格好いいのに「農業なんてダメだ」と言うんです。農業は世の中に必要とされているのに、斜陽産業みたいになっているのは変だと疑問を持ちました。この現状を変えるには、食べる消費者の気持ちを変えることが必要だと思いました。

 

ー 消費者の気持ちを変えるとは、例えばどういうことですか?

例えば食材や調味料を知ってもらって、選択肢を広げる。野菜の選び方がわからないからお腹が満たせればいいと安いものを選んでしまうし、楽しみ方のアイデアがないから同じものばかり食べてしまうと思うんです。

「農業を応援しよう」と言われると疲れるけれど、楽しく消費者の目線を変える方法はたくさんある。僕にとってはマルシェもそのきっかけの一つ。消費者と生産者がお互いにきっかけをもらえる場所だと思います。

 

 

食の生産者と都会が繋がる”マルシェ”という場所

ー 脇坂さんは東京だけで年間200日ものマルシェを運営しているという、マルシェのプロ!ですが、マルシェの魅力はなんだと思いますか?

僕はマルシェを「コミュニケーション型小売業」と呼んでいます。ネットショップが主流の世の中で、店員がお客さんと対面で、こんなに丁寧に商品を説明しながら販売する場所って、デパートの1階の化粧品売り場くらいしかないんじゃないでしょうか(笑)。

100種類のオリーブオイルが並んでいても選べないけれど、1本を丁寧に説明してもらえば、魅力が伝わりますし、高価な商品も納得して買ってもらえる。だから思いもよらない買い物をしてしまったりもするのですが。

 

 

ー 生産者さんにとってもお客さんと話す良い機会になりますよね。

マルシェは生産者が直接お店に立つことも多いので、彼らにも学びがあります。自分たちが作ったものが都会で売れるってことがモチベーションにもなりますしね。

最近は新しい商業施設ができる時も必ずマルシェ用のスペースが確保されていたり、デベロッパーさんがやりたい重要コンテンツ。

マルシェは都会の人にとっては農業や生産者との接点であり、農家や自治体からすると発表や学びの場になっている、両者を繋ぐ場所だと思います。

 

 

日本橋浜町の人はとにかく明るい!

ー 「浜町マルシェ」は1月、4月、7月、10月のどこかの日曜・月曜で2日間開催されています。ほかのマルシェと違う特徴ってありますか?

「浜町マルシェ」は地域との一体感がテーマなので、商店街のブースがあることがユニークなところ。近隣の3商店会、多い時は5商店会がブースを持って、それぞれ工夫を凝らした商品を用意してくれています。過去に日山さんと今半さんのステーキが出た時は、一日中すごい行列で伝説になりましたね。

浜町は住民の方もワーカーもいるまちなので開催する曜日を日曜・月曜に設定しています。日曜は家族連れや近隣の方々、月曜はオフィスから買い物やランチ調達に来てくださる方で賑わいます。

 

 

 

ー 脇坂さんからみて、浜町のまちや人の印象はどうですか?

雰囲気がすごくいいですよね。マルシェに来るお客さんも本当に明るいし、商品に対する感度も高いです。お子さん連れが多くて、マルシェで会った親同士、子ども同士がそれぞれ楽しんでいる光景もよく見かけます。

新旧入り交じっている感じもすごく好きで、おじいちゃん、おばあちゃんが遊びに来てくださるのもうれしいですね。マルシェは全世代が楽しめるイベントなので、あらゆる人の接点になることができるんだと実感します。

ー 今後、「浜町マルシェ」はどうなっていきそうですか?

浜町マルシェは出店者からも人気のマルシェなので、毎月開催できたらいいなぁと思っています。出店者はあと6店舗くらい、キッチンカーも増やせるんじゃないかな。これからもまちと生産者が交流する場所として、そしてみなさんが美味しいものに出会う場所として成長していければいいなと思います。

 

株式会社AgriInnovationDesign

https://nougyou.tv

浜町マルシェ公式WEBサイト

http://hamacho.jp/hamachomarche/

 [取材日:2023.4.16]

写真:北浦汐見 文:井上麻子

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