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Single O Hamacho 代表 山本 酉さん

―日本橋浜町。かつては広大な武家屋敷が広がっていた、古くから続く江戸のまち。歴史と伝統を受け継ぎながら変わりゆくまちの息遣いと魅力を、このまちで働き、暮らしを営む人々の言葉を通して紐解いていきます。

2021年10月に日本橋浜町に誕生した注目のスポットといえば、『Single O Hamacho (シングル オー 浜町)』。自家焙煎のスペシャルティコーヒーを提供するコーヒー通の間ではすでに知られたカフェです。

本店はオーストラリアのシドニーというカフェがなぜ、日本橋浜町にオープンしたのか。その立役者でもある代表の山本 酉さんに話しを伺いました。

 

世界一周旅行の途中で出会ったコーヒーを日本に!

―Single Oの本店はオーストラリアのシドニーとのこと。山本さんとSingle Oとの出会いについて教えてください。

20代のうちにできることをやろうと、妻と一緒に世界一周バックパックの旅に出かけたのが2007年。アジア、南アフリカ、アラブ諸国、ヨーロッパなどの十数カ国を1年かけて回ったところで、旅行資金が底をつき始めて。そこで、事前に申請していたワーキングホリデービザを利用してオーストラリアでバイトをすることにしました。

そのバイト先がシドニーのサリーヒルズにあるカフェ「Single O」。皿洗いのバイトだったのですが、まかないで飲んだコーヒーがとにかく美味しくて。それまでの僕にとってコーヒーといえばコンビニや自動販売機で買う缶コーヒー。当たり前なのですが、同じコーヒーなのに、こんなにも味が違うのかと驚きました。

もともと「Single O」は、自家焙煎のコーヒー豆を卸売りするホールセールビジネスがメインで卸先には世界的に有名なホテルやレストランも。自分が働いたカフェは唯一の直営店だったんです。

 

―働いた先がたまたまコーヒーの名店だったというわけですね。

考えてみれば、オーストラリアに辿りつくまでに旅した国々の中には、コーヒー豆の産地もいくつかありました。コーヒー豆がどんな国で作られ、そしてどのようにして人々に美味しく味わってもらえるかを自分の目で見たことで、コーヒーへの興味も「Single O」というお店への興味もぐんぐんと増していったんです。そこで、妻とも相談し、コーヒーについて本格的に学ぼうと、皿洗いからキッチンへ、そしてバリスタとしても働かせてもらうことになりました。

 

―「Single O」の日本進出は、山本さんご自身の発案だったとか。

働くうちに、特定の農園や生産者によって栽培されたシングルオリジンコーヒーの美味しさを日本にも広めたいと思うようになったんです。

さっそく、創業者であるディオンとエマに日本でカフェをオープンしてはどうかと提案。返事は「日本でコーヒー豆の焙煎をするところから始めなければダメだ」と。そこで、焙煎と品質管理のチームに入って3年半かけて勉強。ようやく、彼らのOKをもらい、2014年に両国に焙煎所を立ち上げました。

両国では、卸売り用の焙煎がメインなのですが、週末限定でテイスティングバーをオープン。小さい空間ながらコーヒーを介して皆さんが楽しく交流を深めている様子を見て、本格的にカフェをオープンさせたいと思ったのが、浜町への出店のきっかけです。

―旗艦店となるカフェをオープンするにあたり、なぜ日本橋浜町を選んだのでしょう?

まずは、焙煎所のある両国から近く、さらには東京駅や東京シティエアターミナルなど、地方や海外からのお客さまも呼び込める立地のよさ。

また、ここ数年、手しごとにフォーカスしたクリエイターやショップがどんどん集まり、まちづくりに大きく関わっているという点にも興味を持ちました。コーヒー豆の栽培も焙煎もお客さまにコーヒーを提供することもすべてが手しごと。クラフトマンシップが根底にある「Single O」は浜町にぴったりだと思います。

 

日本橋浜町で新たなコーヒー文化を育みたい

―店先がオープンになっていて、店員さんもフレンドリー。入りやすい雰囲気のお店ですね。

店頭には、オーストラリアの店舗同様に、お客さまが自分で好きな銘柄を選び、コーヒーを注ぐ、「コーヒーオンタップ」を設置しました。値段は300円で、時間はわずか10秒。出勤時や休憩時間、散歩の途中など、隙間の時間に気軽に立ち寄って頂けます。それと、お客さまと店員がフランクに会話を楽しむのもオーストラリア仕込みのカフェスタイル。

コーヒーについての質問はもちろんのこと、壁や天井に飾られているアート、テーブルの素材、カップなどのカトラリーについてなど、気になることがあればどんどん声をかけてみてください。お店で使っているもの、置いてあるものすべてにこだわりがあるので、店内を観察しながらくつろぐのも楽しいと思います。

 

―お店を構えてみて、日本橋浜町の印象はいかがですか?

心地よい接客でよいものをきちんと提供していれば、きっと受け入れてもらえる。そう信じてはいたのですが、思った以上に、早い段階で常連さんになってくださる方が多くて。

自分たちのようなお店を求めてくださっていたのかなと思うと、嬉しくなりますね。普段、お店にいるスタッフに聞くと、近隣にお住まいのお客さまや他の店舗の方にとてもよくしてもらっていると口々に言うんです。おそらく、お客さまよりもスタッフの年齢が若い場合も多いはず。にも関わらず、優しく受け入れてくださるまちの皆さまの懐の深さに、あらためて感謝しています。

 

―日本橋浜町でお気に入りの場所をぜひ教えてください。

両国の焙煎所から浜町のカフェまでは、いつも隅田川沿いを歩いてくるのですが、その道のりの景色は最高ですね。都会なのに空が広くてゆったりとしていて気持ちがいい。両国橋や新大橋、清洲橋といったそれぞれに歴史のある橋もあり、浜町公園では桜も緑も楽しめる。お気に入りの30分ウォーキングコースです。

 

―今後、日本橋浜町でどのような取り組みをされたいですか?

浜町のコミュニティや地域イベントに積極的に参加していきたいと思っています。例えば、お店を飛び出して、首都高の高架下にあるあやめ公園などでコーヒーを提供できるイベントを開催したり。コーヒーの飲み比べを楽しんでもらったり、ご家庭で気軽に美味しくコーヒーを淹れるコツをお伝えするワークショップなども喜んで頂けるのではと。

コーヒーを通じて人と人の輪が広がり、浜町で新たなコーヒーカルチャーが育てば本望。それがオーストラリアから「Single O」を運んだ自分のミッションだと思っています。

 

Single O Hamacho

中央区日本橋浜町3-16-7 スプラウト日本橋浜町 1F

WEBサイト:https://singleo.jp

インスタグラム:https://instagram.com/single_ojapan/

ツイッター:https://twitter.com/single_ojapan

[取材日:2022.4.25]

写真:鈴木優太 文:堀 朋子

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