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浜町三丁目西部町会 婦人部長 櫻井福代さん

日本橋浜町。かつては、広大な武家屋敷が広がっていた古くから続く江戸の街。歴史と伝統を受け継ぎながら、変わりゆく街の息遣いを、そこで働き暮らしを営む人々の言葉を通して魅力を紐解きながらお届けします。

今回お話を聞いたのは、浜町三丁目西部町会(以下、町会)の婦人部長・櫻井福代さん。婦人部というとあまり馴染みがないかもしれませんが、彼女たちは浜町を陰ながら支える縁の下の力持ち。町をあげてのいろいろなイベントが多い浜町で、なくてはならない大切な存在なのです。彼女たちがどんな活動をしているのかというお話から、櫻井さんの思い出話まで、たっぷりと伺ってきました。

婦人部はいろんなイベントで台所を仕切る町のお母さん

ずばり、婦人部はどんな活動をされているのでしょうか?

主な仕事は、お祭りなどの町会のイベントで給食のお手伝いをすることです。神田祭では接待所の切り盛りや関係者のお弁当の手配をしたり、浜町神社の初詣で参拝客に甘酒をふるまったり。お客さんとスタッフの両方に向けて、食事周りの準備をしています。

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みなさんの食事のケアをするなんて、まるで町のお母さんみたいですね。

そうですね。一番忙しいのが夏で、納涼大会では500人分のおでんを婦人部で仕込みます。これは昔から続いている伝統でレシピも引き継いでいます。最近は暑くて準備が大変なので、パックになった出来合いのものを使ったらどうかなんて話も出たりするんですけど、やっぱり手作りの方が美味しいからね。だから手作りで仕込んでいます。今は食材を地元トルナーレのピーコックさんに仕入れてもらっていて、大量の食材を当日まで冷蔵庫で保存してくださるので助かっています。ほかにも、焼き鳥やフランクフルトなどの屋台のお手伝いもやります。

浴衣に割烹着姿がとても絵になると評判ですよね。

あの浴衣は町会オリジナルのもので、白地に「浜三西部」という紺色の柄が入っているんです。私は町にいるお針子さんに仕立ててもらいました。盆踊りでは櫓で踊ることもあるんですが、そのときに着ているのも同じ浴衣です。

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参加資格はナシ! 婦人部は地域とつながるコミュニティ

婦人部はどれくらい前からある組織なのでしょうか?

私が浜町に嫁いできたのが1976年で、43年前くらいですかね? その頃にはもう婦人部があって、主人の母から引き継いで私もお手伝いしていました。納涼大会の盆踊りなんかも、当時は建物の間の路地にトラックを2台停めて、その荷台の上に櫓を立てて踊っていたんですよ。

そんな時代があったんですね。いま婦人部のメンバーは何名くらいなんですか?

言ってみれば浜町に住んでいる女性はみなさん婦人部ですが、イベントに集まるのは40~45名ほどです。中心となる幹事は私を入れて9名いて、イベントの時にはまとめ役として場を仕切ったり、年に34回の頻度で活動を振り返る幹事会を開いています。

町会の女性なら誰でも参加できるんですね!

はい。最近は町会の青年部の方がインターネットや町の掲示板を使って、ボランティア募集という形で婦人部への参加者を募集してくれています。若い方では30代の方もいますし、お仕事を引退されてから参加される方もいます。3年前くらいから娘さんと一緒にお手伝いしてくださっている87歳の方は、活動が楽しいと喜んでくださっていて。イベントのお手伝いを通して地域の方々と繋がりができるので、それはとてもいいことだと思います。

なんだか参加するのはハードルが高いのかと思っていました。

若い方は特に家のことやお仕事が忙しいと思うのですが、婦人部に入ったからといってすべてのイベントに出なくても大丈夫なんです。お子さんを連れてきていただいても構わないですし、融通はきくので気軽に参加してもらえたらと思います。

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昔ながらの近所付き合いが残る、浜町村の精神。

櫻井さんはいつから浜町に住んでいるんですか?

ここに嫁いできてからずっとです。昔ながらの人情が残っている町で、住んでいて誇りを持てるような町だと思います。

櫻井さんのお気に入りの場所を教えてください

この辺りでいうと、隅田川テラスは気持ちいいですね。浜町消防署から川岸に降りていって、清洲橋の手前を上がってもどってくるようなコースをよく主人と散歩していました。遊覧船が通ったりするのを座って眺めているのが気持ちいいんですよ。

町会や町のイベントが充実しているのは、浜町の魅力の一つだと思います。

昔は葬儀などがあると、近所が総出で手伝いに行って料理を作ったりしたんです。とても昔ながらの近所付き合いがあったので、自分たちでここは浜町村だねなんて話をしていたほどです。東京では隣に誰が住んでいるかわからないなんて言うけれど、浜町の人はみんなわかっていました。今でもそれは引き継がれていて、よそから「浜町はすごいね」って言われています。

町の風景や住む人は変わりつつも、大事な部分は残っているんですね。

歳を取ってから近所の方と行き来することは少なくなってきましたけど、親しみはありますね。最近は小さいお子さんを連れた若いご夫婦をよく見かけるようになりましたし、ホテルができたからか、外国人の方も増えましたね。ここ23年は特にすごく町の変化を感じますが、さみしいことはないですね。

新しく町で暮らす方にも、その空気が伝わっていくといいですね。

これからも浜町に来て、暮らしてよかったと思ってくれるような方たちが増えたらいいなと思います。若い方にもぜひ婦人部に参加してもらって、地域の人たちとの繋がりが深いこの町の雰囲気を引き継いでいっていただけたらうれしいなと思います。

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[取材日:2019.7.9]
写真:山﨑瑠惟 文:井上麻子

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