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日本橋五の部連合町会 会長  髙橋伸治さん

日本橋浜町。かつては、広大な武家屋敷が広がっていた古くから続く江戸の街。歴史と伝統を受け継ぎながら、変わりゆく街の息遣いを、そこで暮らしを営む人々の言葉を通して魅力を紐解きながらお届けします。

今回は日本橋五の部連合町会の会長として、浜町の未来を担う若い世代の育成にチカラを注いでいる、髙橋伸治さんを訪ねてきました。

浜町は「今」を中心に動いている街

ー髙橋さんは35年前から浜町にお住まいとのことですが、この街の印象は?

浜町は日本橋地域の中で、他とはちょっと違っているなって思うんです。日本橋にある多くの街は、古き良き伝統など昔から引き継いできたものの中で語られることが多いのですが、浜町は「今」を大切にしている地域なんです。今この瞬間に輝いているもの、新しいものに一生懸命携わっている人を中心に街が動いているという感じがします。かつて掘割だったあの緑道を境に、まったく違う街になっている気がしますね。

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ーとってもユニークですね。どうしてそういった雰囲気が生まれたのでしょうか?

代々続く伝統のようなものが、ある意味根付いていない地域なんです。江戸時代のこの辺りは大名屋敷が多く、地方の武士が一時的に住む場所でした。そして明治時代に土地の払い下げを受けた商人たちによって街が興され、関東大震災や東京大空襲で一度何もないまっさらな更地になってしまった。そういった時代背景があるので、昔からの慣習にとらわれない気質なんです。とはいえ、町会が江戸時代の武家屋敷の区域によって分けられていたり、守り神である神社・仏閣が数多く残っていたりと、歴史を感じる部分もあります。また、もともと浜町公園で行われていた相撲が現在は両国国技館で開催されていたり、隅田川の花火大会も浜町からスタートするなど、ここで生まれた伝統文化が他の地域で受け継がれたりしているのも面白いですね。

「今」を育てるのは、人の繋がりと深い人情

ー浜町の「今」を育てるために、町会ではどんなことをされているのですか?

若い人の集まりということで、連合町会ごとに19の地区委員会があるのですが、五の部連合町会は他のどの地域にも負けない自信がありますよ(笑)。五の部と三の部の地域で日本橋全体の3分の2の人口がいるので、暮らしている方も多いんです。なかでも一番盛り上がるのは“五のちゃん運動会”ですね。五の部連合町会に入っている10町会の対抗で、浜町公園のグラウンドを借りて毎年開催するんですが、大人から子供まで全部で1200人くらい集まります。運動会以外には、児童館祭りや小学校行事に協力するなど、子供に関する活動も多いですね。

ー地域の人同士の繋がりも深くなりそうですね。

震災や空襲で昔ながらのモノは消えてしまっても、人情味だけは残っているのがこの街のいいところだと思うんです。長く住んでいる地元の人にも、新しく浜町に引っ越してくる人やこれからここで商売を始めようという若い世代に対して「どんどん来い!面倒みてやるぞ」という、新しいものをどんと受け入れる空気があります。なので最近は飲食店を中心に若い経営者の新店もどんどん増えていて、私も楽しみにしています。

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ナウマンゾウの浜町標本を取り戻せ! 浜町のこれから

ー今後、浜町はどんな街になっていったらいいなと思いますか?

“今輝いている人”が中心になって、どんどん生まれ変わっていく街になればいいと思います。我々は新しい世代が活躍できるような仕組みづくりをこれからも続けていきます。また、各町会長さんから言われているのが、ナウマンゾウの浜町標本を取り戻すこと!(笑)。浜町駅の工事をしている時に発掘されたもので、一頭丸ごと完全個体で出てきたのは日本初という大変貴重なものです。現在は保存場所の関係で八王子にある廃校になった小学校にひっそりと眠っているのですが、浜町の宝として、できれば浜町のどこかに展示したいと考えています。ナウマンゾウをきっかけに世界中の人が浜町に来てくれますからね。なんとか街に戻ってきてもらえるように、現在活動中です。

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浜町の未来を作っていくのは若い力。若者の背中を力強く押してくれる人生の先輩が、この街にはたくさんいるようです。日々変化するエネルギー溢れる街の姿から、今後も目が離せません。

[取材日:2016.6.7]
写真:鈴木優太 文:井上麻子

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